オフィス・アップサイジング

home  writing's index  NP通信社「プロボノを始めよう」
記事・論文

企業はプロボノとどう向き合えばよいか?

 

 仕事を通じて培った経験やスキルを活かして社会貢献に取り組む「プロボノ」が、社会人の間で広がりを見せている。

 こうした中で、企業は、プロボノとどう向き合っていったらよいだろうか。
 プロボノは、あくまでボランティア活動であり、基本的には、個人が自由に参加すればよいことだ。事実、多くのプロボノワーカーは、会社とは別のプライベートとして、つまり、ボランティア活動に参加するのに会社に許可を得る必要がないのと同じく、会社とは無関係にプロボノに参加している。それはそれで問題ない。

 ただ、企業の考え方や取り組み次第では、企業として、プロボノをもっと効果的に「活用」することもできる。

 一つは社会貢献の文脈だ。プロボノは、企業が取り組む社会貢献活動としても、新しい手法として捉えることができる。プロボノは、事業所の周辺を清掃したり、地域のお祭りに参加する、といった社員総出の活動のように、一時期に大人数が参加できるボランティア活動ではない。しかし、継続的に、かつ、支援先のNPO等の組織のあり方そのものに関わるような深みのある支援を提供することで、支援先にとって貴重なサポートを提供することができる。同時に、社員の経験やスキルを通じて支援を行うことで、「企業らしさ」を活かした社会貢献活動を展開できることは、大きな特長といえる。

 日本IBMでは、主に教育分野で活躍するNPOを対象に、社員3~4人がチームを組み、一期につき4ヵ月間という期間にわたってNPOの課題の抽出とその解決策を提案するプロボノプログラムに取り組んでいる。IBM社員の持ち味といえる課題解決能力を発揮し、NPOの業務改善や生産性向上、会員制度の設計、営業戦略の構築など、多様な課題に具体的な解決策を提案する実践的なコンサルティングを提供している。2010年から始まったこの活動は、まずは東京で5団体のNPOを支援したのを皮切りに、同社の創立100周年となる今年は、札幌から福岡まで全国5都市にある7団体への支援を加え、全国12団体を支援する活動へと広がりを見せている。

 このように、会社として独自のプロボノプログラムを組むケース以外にも、既存のプロボノプロジェクトに社員の参加を推奨するという方法もある。
 パナソニックと三井住友銀行は、2011年度から東京や関西において筆者が運営するプロボノ活動である「サービスグラント」に社員の参加を推奨するため、社内で終業後の時間を使って説明会を開催している。特に、関西では現在六件のプロボノプロジェクトが進行しているが、2社あわせて15人の社員が参加し、NPOのウェブサイト構築やパンフレット制作を支援するプロボノプロジェクトに、マーケティングや事業戦略立案等を担当するメンバーとして大活躍している。

 こうした社会貢献的側面に加えて、もう一つ、プロボノは人材育成という視点でも今後活用できる可能性がある。前述の日本IBMでは、プロボノの意義を、社会貢献活動の一環であるとともに、社員の課題解決能力の向上など人材育成面にも求めている。前回の連載では、参加したプロボノワーカーの8割近くが「仕事に活かせる有意義な経験が得られた」と実感していることを紹介したが、プロボノに参加することは、単に社会貢献だけではなく、自身の仕事面にもメリットを感じる人は非常に多い。社会貢献と人材育成とを兼ね合わせた効果を期待することもできるプロボノを企業はどのように活用することができるのか。今後もさまざまな実践と検証が行われていくだろう。