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home  writing's index  NP通信社「プロボノを始めよう」
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チームを編成してボランティアに取り組む利点とは?

 

 プロジェクトマネジャー、マーケッター、ビジネスアナリスト、コピーライター、ウェブデザイナー・・・。

 カタカナばかりが続いて恐縮だが、これは、筆者が運営するプロボノ(仕事のスキルを活かしたボランティア活動)の活動である「サービスグラント」において、そこに参加する社会人ボランティア(プロボノワーカー)たちが担う役割の一部だ。

 ボランティアなのに、なぜそんな仕事みたいな肩書きを持たなければならないのだろう、と素朴に思うかもしれない。だが、むしろボランティアだからこそ、個々の役割を明確化することが有効な場合がある。

 特に日ごろ仕事で忙しい社会人の場合はそうだ。忙しい社会人がボランティアに効果的に取り組むためには、無駄な作業を極力なくし、一人ひとりにかかる負荷を軽減することが求められる。そのためには、ボランティア活動でありながらも、効率性を追求することが理にかなっている。

 サービスグラントでは、効果的にプロボノに取り組むためのキーワードとして「プロジェクト型助成」という考え方を取り入れている。プロジェクト型というのは、支援対象となるNPO等に対して漫然と支援するのではなく、具体的な目標成果物を設定し、その成果物の提供をもって一つのプロジェクトが完結する、というスタイルのことである。さらに、サービスグラントでは、プロボノプロジェクトを進めていくにあたって、発生する作業工程をできる限り細かく分解している。1人の個人にすべてを任せるのではなく、複数名で構成されるチームという体制を組むことで、個人にかかる負荷を軽減するようにしている。

 例えば、NPOのウェブサイト構築を支援するプロジェクトの場合、ウェブデザイナー1人がいれば事足りるようにも思える。だが実際には、NPOの複雑なニーズを理解し、多岐にわたる情報を整理し、具体的なウェブサイトに落とし込むまでには、デザインという以前に数多くの作業が必要である。そこで、マーケッターがNPOに関するリサーチを行ったうえでターゲットとコンセプトを提案し、情報アーキテクトがウェブサイトの構造を設計し、コピーライターがテキスト等のコンテンツを取りまとめるといった具合に、それぞれが専門性を生かす形で作業を分担する。そして、これらのプロボノワーカーたちを引っ張っていくプロジェクトマネジャーの存在は、プロジェクトを円滑に進行していく上で肝となる。

 ところで、チームを編成してプロボノプロジェクトを進めていくことの利点は、単に成果物を生み出すのに有効であるというだけにとどまらない。通常、サービスグラントでは、チームの人数を五、六人としているが、そこには同じ会社の人が2人以上入らないようにチーム編成している。多様な企業・業界・職種の人が集まることで、参加するプロボノワーカーにとっては、人脈が広がることはもちろん、社外の人と一緒に「仕事」をする貴重な経験が得られ、自身のビジネススキルの向上につながる可能性もある。サービスグラントに参加したプロボノワーカーの78%は、「仕事に活かせる有意義な経験が得られた」と回答しているが、こうした参加者の反応につながるのも、チームの力があってこそである。

 こうした手法を取り入れることにより、サービスグラントではこれまでに75件のNPOを成功させ、現在、プロボノワーカーの登録者数は970名を超える。いまでも改善箇所は多々あり、日々改善を続けているが、いずれにしても言えることは、ボランティアにおいても、効果的なマネジメントがあれば、成果を圧倒的に高められる可能性がある、ということだ。