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ボランティアに二の足を踏む本当の理由とは

 

 ボランティアに関心がある人は、実は意外と多い。少なくとも統計上は、そのような結果が出ている。

 政府の国民生活選好度調査(平成20年度)によると、ボランティアに積極的にかかわりたいと回答した人の割合は60.8%に上る。この調査に限らず、一般的に、ボランティアや社会貢献に対する興味関心を問うアンケート調査を行うと、回答者の大多数が「関心あり」と回答する。

 同時に読者諸氏のなかには、日本はそんなにボランティアが盛んだっただろうか、とふと首をかしげる人もいるだろう。その答えは、同じく政府の国民生活基本調査(平成18年度)に表れている。過去1年間にボランティアをしたことがあるかどうかを尋ねた設問では、ボランティア経験がある人が全体の26.2%となる。大まかに国民の4人に1人しかボランティアをしていない、ということだ。この数字は現実的に感じられるだろう。
 ボランティアに関心を持つ人は多いが、実践している人は少ない。それが日本の現状である。

 ではなぜ、これだけ潜在的なボランティア関心層がいながら、ボランティアを実践する人がいないのか。文部科学省が行った「ボランティア活動を推進する社会的気運醸成に関する調査」(平成16年度)では、ボランティアに対して関心を持ちながら、実際に参加していない人に、なぜ参加しないかの理由を問うている。みなさんは、どんな理由が一位になったか推測できるだろうか。ボランティアをしない理由として、パッと思いつくのは、例えば、時間がない、情報が少ない、自分に合う活動が見つからない、一緒に参加できる仲間がいない、などだろうか。だが、実は、これらの選択肢をしのいで、堂々の一位となったのは、驚くなかれ、「いったん始めるといい加減なことはできない」という回答だった。

 言われてみれば、ボランティア活動には、独特の不安感が付きまとう。ボランティアは、自分から進んで参加したという手前、簡単に引くに引けないのでは、という不安である。読者諸氏にも、子ども会やPTA活動、地域の町内会活動などで活躍している人も多いかもしれないが、こうした場面では、つい張り切り過ぎると、次は役員を、と言われ、その次には会長を、と言われ、次々にやることと責任を背負い込まされてしまう“危険性”がある。だから、ボランティアでは、目立たないように、控えめにしておこう。そう考える人は、きっと少なくないはずだ。だが、そのような先々の不安ゆえに、ボランティアに消極的になる人が多いとすれば勿体ない話だ。

 連載第一回で、筆者が運営するプロボノの活動「サービスグラント」には約1,000人の働き盛りの社会人がボランティアとして登録をしていることを紹介した。そのことが実現している理由の一つが、参加者にボランティアの時間量、参加期間、役割分担等をあらかじめ明確に伝えていることである。サービスグラントでは、「週5時間」の参加、およそ「6ヵ月間」で終わるプロジェクト、そして、5~6人からなる「チーム」での役割分担をうたっている。結果的に、登録する社会人ボランティアの64%もの人が、過去にボランティア参加経験がない人が占めている。今まで参加したくても二の足を踏んでいたボランティア潜在層が、これなら参加できる、と動き出しているのだ。

 次回は、特に「チーム」というキーワードに焦点を当て、プロボノを成功させるチームの力について考えたい。