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NPOと企業人をつなぐ プロボノの醍醐味

 

 社会的・公共的な目的のために、仕事を通じて培ったスキルや経験を活かすボランティア活動「プロボノ」。その中で、NPOを対象に、ウェブサイトやパンフレット、事業計画立案などの支援を行っているサービスグラントには、およそ1,700人のプロボノワーカー(プロボノとして参加するボランティアの社会人)が集まり、これまでに延べ120件以上のNPOを応援してきました。

「自分に特別なスキルなんてあるのだろうか」「でも、会社の外でどれぐらい通用するか試してみたい」「ソーシャルなことに触れたら、ちょっと視野が広がるかも」そんな期待を込めて、たくさんのプロボノワーカーが集まり、それぞれの得意分野と経験を持ち寄りながらチームを組んで、NPOに成果物を提供します。

 2004年に以前の仕事で訪れた米国で、たまたまプロボノという考え方に出会ったのがきっかけとなり、その半年後には、試験的なプロボノの実験を東京で始めることにつながりました。それから4年、5年と長い試行錯誤を経て、少しずつプロボノが日本国内でも、人びとの関心を引き付けるものとなってきました。

 米国でプロボノを運営する団体のスタッフが、プロボノのコーディネートをする人間は「パーティーのホストのようなものさ」と言っていたのを思い出します。
 パーティーにお招きしたゲストたち。そこにはNPOもいれば企業人もいます。その皆さんに、いい出会い、いい経験を持ち帰ってほしい。そのためには、どこかに困っていることがあれば声をかけ、その人がエンジョイしながら活躍できる状況を整えてあげる。それがホストの役目なのだと。

 また、別の米国人は、プロボノの運営とは「トラブルシューティングそのもの」とも言っていました。
 NPOと企業人という、全く別の思考パターン、行動様式を持つ人たちが、すんなりうまく「協働」できる保証はない。むしろ、何かが起こると考えたほうが現実的だ。でも、お互いのいいところを引き出しあっていけば、きっと予想もしなかったようないい成果が双方に生まれることもあるプロボノ。だから、その仲立ちをする人は、小さなリスクの種を早め早めに摘み取っていくことが大事なのだと。

 プロボノを経験した後、プロボノワーカーたちから、「新聞記事に出てくる社会問題に敏感になった」「仕事に対する考え方が変わった」「自分の可能性が広がった気がした」といった様々な声を聞くたびに、「ほらね、プロボノに参加して、よかったでしょ!」と、心の中で思ったりもします。おいしいレストランを友人に紹介して、後日友人から「あの店おいしかったよ」と言われたときのようなささやかな嬉しさ。それが、自分にとって、NPOの仕事の甘美な楽しみかもしれない、と思いながら、日々、プロボノにどんなことができるのか、考えているところです。

【出典】パルシステム広報誌「POCO21」 2013年5月号