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記事・論文

第10回/出向先はNPO!?

 

 日本のNPOが大きくならない理由の一つに、中間管理職の不在がある。

 これはどういうことかと言うと、NPOを設立するような「社会起業家」的人材は、日本にも確かにいる。実際、数々のNPOの創設者は、みな強い思いを持ち、社会への新しい提案としてNPOを立ち上げて頑張っている。個性豊かな代表者が、カリスマ的存在として活躍している団体も多い。

 しかし、依然として、NPOの分野で生計を立てていくという決意は、いわば「清水の舞台から飛び降りる」ような決断である、というのが、日本の現状だ。給与水準は低く、大企業に比べれば経営も安定しない。「生活の安定」を考えれば、興味はあっても二の足を踏む人が大多数だろう。

 その結果、日本のNPOには、二番手、三番手として組織を支える人材が出てきにくい状況が起きている。結果的に、NPOは強烈な個性を持つ個人を軸とした“個人商店”の様相を呈している。

 だが、NPOが活動を本当に大きくしようと思えば、優秀な中間管理職が不可欠だ。中間管理職がいれば、企業を訪問して営業活動をすることも、寄付者に対してきめ細かなケアをすることも、多数のボランティアを管理していくことも、ずっとやりやすくなる。代表者はビジョンを語りネットワークを広め、中間管理職的な実務家が具体的な作業工程に落とし込んでいく。そういう体制ができれば、まさに「鬼に金棒」なのだが。

 そこで、提案したい。

 特にこの不況の時代だからこそ、企業がNPOにお金で支援するのは難しい。その代わり、意欲ある人材を1人、NPOに出向させてはどうか?

 組織規模が小さいNPOは、実務全般を経験でき、幅広い人との出会いや交渉を通じて対人能力も高まるし人脈も広がる。本人の実力を伸ばすには格好のフィールドかもしれない。

 こうした思い切った取り組みは、単発的な社会貢献を超えて、企業の人材育成や組織風土の改革にもつながる深いインパクトを持ちうるのではなかろうか。