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記事・論文

第7回/安直な「社会貢献」は見直そう

 

 前回まで、店舗でできるグリーンな取り組みを紹介してきたが、連載後半では視点を切り変え、企業単位で、特に本社などのオフィスワーカーの場合を考えていきたい。

 さて、店舗での取り組みは具体的でイメージも湧きやすく、すぐに取り組めそうなことも多い。これに対して、オフィスで何ができるか、と考えているうちに、「とりあえず」の選択肢として思いつくことが、例えば清掃活動だったりする。

 実際、数多くの企業が、自社の周囲の清掃活動を行って「地域貢献」と称している。

 だが待ってほしい。あまりに安直に清掃活動に飛びつくのはいかがなものか。そもそも、オフィス街はあまり汚れていない。スーツ姿の社員がゾロゾロと大きなごみ袋を持ち歩いて、袋の中には吸殻と紙コップがわずかに入っている程度。それでいいのだろうか。
企業なら、本社の人件費がいくらか知っているはずだ。当たり前だが、本社社員の給与は店舗よりも高い。しかも、本社の人件費は、事務所の賃料や水光熱費、その他さまざまな経費の総体で考えるべきことも釈迦に説法の話で、直感的に給与の3倍ぐらいが本社社員1人にかかる経費の相場だろう。そんな高い人件費の貴重な人材を、安直に動員してしまうのは不経済では、というのが筆者の意見だ。

 本当に会社の周りをきれいにしたければ、清掃業者に外注したり、清掃活動を展開するNPOと協働したらいい。その方が間違いなく効率がいい。

 筆者からの提案は、本社の社員は、もっと効果的な社会貢献に貴重な時間と能力を充当してほしい、というものだ。仕事のノウハウやクリエイティブスキルを生かした社会貢献の方法が、きっと見つかるはずだ。

 ビジネスというと利益追求を繰り返し口にするのに、社会貢献の話題になると急に「タダの人」になってはいけないと思う。ビジネスライクに社会貢献を考える、そのことが、貴重な経営資源を無駄にしない、本当の意味での社会貢献につながる入口だ。