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循環型社会の形成に向けた地域通貨の役割

 

循環型社会と地域通貨
 循環型社会やゼロエミッションといったスローガンが掲げられて久しい。

 それでもなお目の前の現実をあるべき姿へと近づけていくには相当の努力が必要である。環境省の「循環型社会白書」によれば、ごみのリサイクル率(回収したごみのうち資源として再生利用された割合)は、2002年度で15.9%(重量ベース)である。これは、1990年の5.3%から比べれば大きく改善した数値ではあるが、8割以上のごみは依然として燃やされるか埋め立てられるかという状況である。

 このように、循環型社会の理念から照らし合わせれば、現在の日本の状況は、まだ序の口であり、これからやるべきことは山積みといえるだろう。

 ところで、日本で出されるごみは1年間で約5161万トン(平成14年度実績)にのぼるが、うち3分の1は事業者から出るのに対して、残り3分の2は家庭から出るごみである。また、二酸化炭素などの温暖化ガス排出削減の取り組みに関しては、工場などの産業部門は着実に成果を上げているのに対して、民生部門、特に家庭からの排出量は大幅な増加傾向にある。

 こうした背景を踏まえると、循環型社会の形成に向けては、今後は、家庭や個人の役割が重要になっていくだろう。しかし、大規模な工場を対象として廃棄物の減量や温暖化ガス排出削減の対策を講じるのとは違って、一人ひとりの個人にごみの減量や資源回収、省エネルギーなどを働きかけていくには、それなりの仕掛けが求められる。

 環境省の「チーム・マイナス6%」の取り組みは、マスメディアを活用することによって国民の意識を高めようとするものだが、環境省がめざす“国民運動”を本当の意味で実現するためには、マスメディア以外にもいろいろな仕掛けを重層的に活用していくことで相乗的に効果を高めていくべきではないだろうか。そこで本論では、循環型社会の形成という大きな文脈の中で、特に市民・消費者をターゲットとした草の根の仕掛けとして、地域通貨の可能性と課題について議論するものである。



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