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アジア最大規模 “韓流”チャリティ

 

 韓国全土に120店舗を展開。売上総額が300億ウォン、有給の職員数が360人。これは、外食チェーンでも、コンビニでもない。「ビューティフルストア」と呼ばれる、NPOが運営するリサイクルショップのネットワークだ。

 ビューティフルストアで売られているものは、古着を中心に、中古の雑貨や書籍、家電製品、さらに「フェアトレード」のコーヒーや、福祉作業所でつくられた製品などが並んでいる。一号店は2002年に創設され、以来8年半でここまでの規模に成長した。いまや、韓国で暮らす人ならビューティフルストアの存在を何らかの形で見聞きしない人はいないぐらい、知名度の高い存在となった。NPOとしては驚異的だ。

文化の発信拠点
 ただ、こうした急成長に目を奪われ、ビジネスとしてのこのNPOの側面だけを強調してしまうのは一面的に過ぎる。

 むしろ、ビジネスとしての力強さと同時に、文化的で精神的なバックボーンが存在していることを見逃してはならない。ビューティフルストアのコンセプトは、単に中古品を販売することではない。店の運営を通じて、地域にリサイクルやチャリティの文化を根付かせることがビューティフルストアのミッションである。そのため、店の利益を、支援を必要とする人へと配分するプログラムを数多く行ったり、店以外の場所での取り組みにも積極的だ。

 例えば、ソウルでは冬季を除く期間、毎週末のようにフリーマーケットを開催している。毎回のフリマの規模は、出店者数が約1,000件、来場者数は2万人を超える。また、ビューティフルストアが開発したフェアトレード商品は、自らの店舗網だけでなく、韓国内の食料品や雑貨店等七千店で取り扱われているという。このように、さまざまな経済取引を通じてリサイクルや社会貢献を広めていくというスタンスを、どこまでも徹底して追及している。

100億ウォンの寄付金
 ビューティフルストアを生み出した基盤となるのが、ビューティフルファウンデーション(美しい財団)というNPOである。同財団は、戦時中、日本軍の従軍慰安婦となった女性たちが、政府から受領した補償金を寄付したことをきっかけに2000年に創設された。以来、十年余で、毎年四万人以上から寄付金を集め、100億ウォンを寄付や助成金として配分し、支援を必要とする人に届けている。

 ここでいう支援の手法・切り口はユニークだ。例えば、韓国で暮らす外国人(そこには日本人も含まれる)を対象に、さまざまな国の図書を並べる図書館を作り、外国人のコミュニティづくりを支援したり、生活困窮者の子どもが進学する際、必要となる制服代を補助する助成金のプログラム、若い頃に入れた入れ墨を消す費用を支援することで就職を支援するプログラムなど、他のNPOや財団がやらないような社会貢献手法に意欲的に取り組んでいる。

150の「基金」を運営
 筆者が注目したのは、同財団が150もの「基金」を管理・運営している、ということである。この基金とは、資産家や実業家などが、自身が成した資産をこの財団に託し、自身の名前や、自身が思い入れのあるテーマをつけて設置することができるものだ。資産がある人が、自身で基金を立ち上げ、そのための管理運営団体まで立ち上げるのはさすがに荷が重いだろう。しかし、ビューティフルファウンデーションがその事務局機能を提供することで、志ある資産家等が基金を立ち上げやすい環境を提供している。証券会社が資産家から預かったお金を投資して運用するように、この財団は預かった資産を「社会的投資」に振り向けて有効活用する、という役割を担っている。

 ビューティフルファウンデーションとビューティフルストアは、韓国はもちろん、いまや「アジア最大」のNPOと言われている。日本でも、韓流ドラマやK-POPの勢いが止まらないが、“韓流”チャリティが上陸するときが来るかもしれない。NPOの世界でも、アジアに目を向ける時代が来ている。

【出典】繊研新聞 2011年3月29日号