オフィス・アップサイジング

home  writing's index  最近のトピックス
記事・論文

資金調達における“NPOらしさ”とは?

 

 環境問題や社会貢献に対する関心や理解は、かつてに比べれば格段に高まっており、NPOには「追い風」と言われる状況にある。とはいえ、それは総論の話。個々のNPOがどうやって事業を運営していくかは一筋縄ではない。NPOにとっての商品とは、ほかならぬ「社会貢献」である。この分かりにくい商品に、どのような人が、相応のお金を出して応援してくれるのか。いまだに模索の状況が続いている。

資金調達は常に課題
 筆者が運営に携わる「アースデイマネー」も、ご多分に漏れず、運営の多くはボランティア頼みだ。自分自身、コンサルやWEB制作などを個人としてこなす傍ら、NPO活動に多くの時間を割いているが、アースデイマネーによって給与を得ているわけではない。
さらに、活動を維持・運営していくためには経費が必要だ。ホームページの運営、パンフレットなどの印刷物の作成など、NPO活動をきちんとやっていくにはそれなりに経費がかかる。
 これまでは、こうした経費の多くは、行政から業務を受託するなどしてまかなってきた。しかし、受託型の業務はその対応のための別の作業が発生し、負荷も大きい。できることなら、アースデイマネーの本来的な活動からお金を生み出せるようにしていくほうが健全だと感じている。

真剣勝負から見えたもの
 実は、これまで、アースデイマネーでは、参加店からお金をいただく方式を取り入れてこなかった。過去の実績もなく、公的な権威もなく、地縁関係もない一般市民が始めた活動に、お金を払って参加してくれる店はないだろうし、参加費を前提にしたらきっと広がらなかっただろう。おかげで参加店の数はゆっくりだが伸びてきた。だが、そうした「タダ」の関係が長く続いてきたことによる悪影響も出てきた。参加店の中には、ただ名前を連ねているだけで参加意識の低い店もある。でも、一方で意識の高いお店にはもっと本気で協力してもらって、一緒にアースデイマネーを盛り上げていきたい。そんな思いもあって、この4月に、初めて、参加店有志による小口の協賛を呼びかけながら「アースデイマネーオフィシャルガイドブック」なるものを発行した。
 この間、参加店を回って協力を呼びかけるプロセスが非常に貴重なものとなった。何しろ、「無料で参加できますよ」から「お金を払って協力してください」に変わったことで、お店の人が真剣になった。
 そのなかで、非常に勉強になったのが、協賛金の金額によってガイドブックの掲載スペースの大きさが異なるという提案をしたときの、ある店の反応だった。
「そういう提案の仕方は雑誌や広告と変わらないじゃないか。うちはおたくにそういう気持ちで参加しているんじゃない!」
 目から鱗だった。僕らはNPOといってもお金を得るためには、雑誌やフリーペーパーのやり方を真似してガイドブックへの広告を募るというスタイルがいいと思ったが、逆に、参加店のほうは、それを期待していなかったのだ。

NPOらしさを生かす
 こうしたやり取りの中で、参加店から教えられたことは、アースデイマネーはNPOであり、コミュニティ活動であって、そのユニークな立ち位置を忘れてはいけないという、実に基本的なことだった。NPO「だから金を払わない」ではなく、NPO「らしく頑張れ、なら応援するよ」ということだった。
 確かに、街のお店は、日々、熾烈な市場競争の中を戦っている。その上、街のコミュニティ活動にまで「お金をたくさん出せば大きな広告が出せる」的な論理など、聞かされたくないのかもしれない、と思った。
 アースデイマネーは、そこに競争ではなく共生や協調という空気が流れる場であり、仮に日ごろは競合したり対立するような相手でも、アースデイマネーという場においては、対等な立場に立って接することができる。そんな安心感のある存在であるべきなのだろう。
 今回の経験を通じて、渋谷という場所にアースデイマネーが存在する理由を改めて自覚したような気がした。そして、NPOが「事業性」を考えるにあたっての、貴重なヒントを得たように感じた。


【出典】繊研新聞 4月24日号