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home  writing's index  現代林業 「地域通貨が面白い」
記事・論文

vol.8 「出口」を確保することが成功の秘訣

 

 地域通貨の仕組みでもっともジレンマとなるのが、「入口と出口のミスマッチ」である。入口とは、例えば森林の間伐をしたり、川の清掃をしたりするなどのボランティア活動に参加した人が地域通貨を手に入れるときのことをさす。一方、出口とは手にした地域通貨を使って温泉に入ったりお店でごはんを食べたり、あるいは、他のボランティアとサービスをやり取りすることをいう。

 地域通貨を運営する立場からすれば、どんどん地域通貨を発行して、ボランティアを活性化させたいと思うのが自然だろう。しかし、地域通貨を受け取る側が乗り気でなければ、たちまちのうちに通貨の流通がだぶついてしまい、価値が下がってしまう。両者のバランスをいかに取るかが、地域通貨運営者の腕の見せ所である。

 その有力な答えが、通貨を受け取る商店などにも、次の出口を用意してあげることである。第三話でも紹介した岩手県西和賀地域の「わらび」はその典型例であるが、ここでは地域通貨は、最終的に地元の特産品であるワラビと交換できる。ワラビは旅館や飲食店をはじめ地域の人が日常的に利用する食材であり、いわば当地の必需品である。地域通貨が現金と交換できなくとも、ワラビと交換できるのであれば、それを受け取っても損にならない。

 しかも、このワラビは遊休耕地で育てられている。放っておけばただ雑草しか生えない土地を活用して育てたワラビが、価値の源泉となって通貨が回りだす。ボランティアが活性化し、外部から訪れた人との交流が始まる。「無から有を生み出す」とはまさにこのことではないだろうか。

 このことを、林業に置き換えて考えてみれば、ワラビに対応するものが「炭」や「キノコ」や「バイオマスエネルギー」であっていいはずだ。炭であれば飲食店でも調理用に使えるし、暖房に使える。キノコであれば、なんといっても食べられる。木質バイオマス発電によって得られた電力や熱であれば汎用性はより高まる。

 こうした工夫があれば、地域通貨はずっと多くの人に受け入れられるようになるだろうし、よりよく回るようになるだろう。