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スローマーケティングをはじめよう

 

 NPO先進国のアメリカでは、インターネットを通じた寄付も伸びています。その成長率は毎年20%以上と言われ、従来の郵便や小切手などに代わる寄付金集めの手段としてその重要性はますます高まっていくことでしょう。eコマースやeビジネスと同じように、NPOも「eノンプロフィット」へと着々と進化を遂げているのです。

 eノンプロフィットを支えているのは、一人ひとりの市民です。アメリカでは、1年間の寄付総額が2000億ドル(=約22兆円!)を超え、その4分の3が個人による寄付と言われています。こうした巨大な市場とそれを支える市民が背景にあるからこそ、インターネットの普及とともに、インターネット寄付市場も当然のごとく伸びているわけです。2003年では、寄付総額のおよそ7%がインターネット寄付だそうです。

 一方、日本における寄付は年間で5000億円強に留まり、そのうち個人の占める割合は全体の10%にも満たない水準(寄付の大半は企業などの法人によるもの)と見られています(参考:国民生活白書)。しかも、寄付先の多くは歴史のある知名度の高い団体への寄付が占めており、昨今新しく立ち上がったNPO法人の活動を個人が寄付で支えるというお金の流れは、現時点ではきわめて限られています。ですから、日本ではインターネットの仕組みがどれだけ整っても、基本となる市場が小さいうえに、NPOの認知度もいまひとつという状況が障害になります。

 アメリカでは、寄付者や支援者を集合的にとらえて「ドナーベース」と呼び、そのドナーベースの層の厚さがNPOの収益力の決定要因となります。こうした基盤があるからこそ、インターネット寄付も堅実な伸びを示すのでしょう。

 ただし、アメリカでも、きちんとしたドナーベースを築くには5年はかかると言います。彼らは、寄付者に対して賛同を呼びかけたり、イベントやボランティア活動に参加してもらったり、積極的な情報発信やキャンペーンを通じて認知度をアップさせたり、といった、さまざまな、特にコミュニケーション面で最大限努力します。これは、企業の広告活動とは似て非なるものですが、一種のマーケティングです。そう、これこそ「スローマーケティング」なのです。世の中のお金の流れを変えて、個人の自発的なお金でNPOを支える仕組みを作るにはどうしたらいいのか考え、そして実践するのがスローマーケティングです。

 皆さんは、どんなNPOだったら寄付してもいいと思いますか? 思わず寄付したくなるNPOの姿って、どんなものでしょうか。気持ちいい寄付のカタチ、このコーナーで、ご一緒に考えてみませんか?


(初出:「ソトコト」/スローマーケティング講座は「ソトコト」の連載企画として掲載されたものです)