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サービスグラントの成否を握る「プログラムオフィサー」

 

 NPOのマーケティングやコミュニケーションを応援する「サービスグラント」。

 そのモデルであるサンフランシスコのタップルートファウンデーションを見ていくうちに、前号の連載では、その責任者となるグラントマネージャーをはじめ、それぞれのボランティアに、スキルに応じた明確な役割分担がなされていることを紹介した。

 しかしそれだけにとどまらなかった。タップルートでは、プロジェクトを円滑に進めるため「プログラムオフィサー」というスタッフを配置しているのだ。プログラムオフィサーとは、タップルート側の立場に立つ事務局的なスタッフという位置づけで、プロジェクトチームとはある種の緊張関係にある。サービスグラントの品質を維持することを目的として各チームの状況を逐次把握し、必要に応じて適切なアドバイスを提供する役割を担うものである。

 タップルートの専属職員がプログラムオフィサーになる場合と、ここにもボランティアのスタッフを起用する場合とがある。プログラムオフィサーは一人で複数のプロジェクトを監督するのが一般的で、プロジェクトのキックオフや最終提案などの主要な会合に立ち会ったり、事後のアセスメントを行ったり、プロジェクトが暗礁に乗り上げたときの相談役となる。また、グラントマネージャーとの間では1週間に1回程度、電話で連絡を取り、やるべきタスクがきちんと消化されているかをチェックする。プログラムオフィサーを配置することで、グラントマネージャーがすべての課題を抱え込まないようにし、プロジェクトのリスクを下げている。

 組織化されたボランティアチーム、そして、彼らの進捗と品質を管理するプログラムオフィサー。こうした体制が整っているからこそ、タップルートのサービスグラントが年間100本近い成果品をNPOに提供できるのである。

 同時に、筆者が肌で感じた限り、この手際のよさはなかなか一朝一夕に獲得できるものではないように思われた。そもそも、彼らの会議に同席して感じたのは、たとえ初めて顔をあわせる人たちでも会議を効率よく生産的に進める流儀を参加するメンバーが持っていることだ。ある種、アメリカのホワイトカラーの文化のようなものを感じた。果たして、タップルートのやり方が日本でそのまま当てはめられるか、おそらく100%同じではないのだろう。

「まずは小さく産んでみることが肝心だよ」

 タップルートファウンデーションの代表のアーロン・ハースト氏が私にくれたアドバイスは、まずは小規模でもゴールが明確なプロジェクトを実際にやってみること。おそらくそれは、自分自身がプログラムオフィサーとなってみて、スキルと志を持つメンバーに集まっていただき、サービスグラントを提供するところまでの一連の流れをやってみるべきだ、ということだ。

 そろそろ機は熟してきた。論より証拠。実際に始めてみようではないか。

 折から、ちょうどよい実践の場が現れた。東京丸の内にあるソトコトLOHAS KITCHEN & BARだ。12月12日の説明会を皮切りに、土日の比較的空いた時間をつかって、この場所をサービスグラントの企画会議の場にしてみよう。

 これからどんな成果物が出てくるか。
 お楽しみはこれからだ。


(初出:「ソトコト」/スローマーケティング講座は「ソトコト」の連載企画として掲載されたものです)