オフィス・アップサイジング

home  vision
目指す方向

アップサイジング/原点

 

「アップサイジング」とは、ここでは、環境的・社会的・経済的など多面的な視点から見て、効用が増大することを意図しています。

アップサイジングの考え方は、1994年、国連大学において「ゼロエミッション」の概念を提唱したグンター・パウリ氏(Gunter Pauli)に発するものです。

パウリ氏は、スイスにあるゼロエミッション研究所(Zero Emission Research Initiative)の代表として、世界各地で100以上の循環型社会のためのプロジェクトに関わる人物です。ビジョナリーな発信力と、現場での実践力とをあわせもつ、環境分野のグローバルなリーダーとして、いまも精力的に活躍している人物です。

彼が提唱した「ゼロエミッション」のメッセージは産業界の多くの場面に受け入れられ、さまざまな企業が「ゼロエミッション工場」や「ゼロエミッションビルディング」など、廃棄物の発生を抑制する取り組みへと広がりました。

しかしながら、パウリ氏はそのことに同時に警鐘を鳴らしています。

それは、「ゼロエミッション」が「ごみゼロ」と混同されている、というのです。


自分にとって、忘れられない一場面があります。

それは、2003年10月に、大東文化大学の主催で開かれた「環境創造フォーラム」で、幸運にも、パウリ氏と出会ったときのことです。

前日の打ち合わせで、資源循環の取り組みとしてそのとき自分が考えていたことを紹介しました。
自分が運営に関わるアースデイマネーの参加店に呼びかけて、お店で出たごみを乾燥させて農村部に運び、ごみを堆肥にして野菜を育てるのに使い、できた野菜をふたたび参加店に還流させる・・・そんな話をしたように思います。

その話を聞いてすぐにパウリ氏は、残念そうな表情を浮かべました。

そして、おもむろにペンを取り出し、勢いよく、ぐるぐると、大きな円を、何重にも描きはじめたのです!

「これが、僕が伝えたいアップサイジング、ということなんだ!」


そのときは、狐につままれたようになってしまいましたが、彼の意図は明快でした。

ごみを農村に輸送するためにはそのために新たにエネルギーがかかる、ということは環境への負荷をかけている。さらに、堆肥の経済的な価値を冷静に考えれば、わざわざ都心から農村に運ぶ手間をかけるようなことが見合うものではない。

つまり、このモデルは「資源循環」という観点では一見きれいなモデルに見えるけれども、実は新たな環境負荷をかけ、なおかつ、経済的な効用を生んでいないモデル、ということなのです。


彼の書籍「アップサイジングの時代が来る」には、世界各地で取り組んだ、さまざまな実践例が紹介されています。

スウェーデンのゴットランド島では、ビールの絞りかすを使ってパンを作ったり、廃棄されるにんじんを使ってキャロットケーキを開発するプロジェクトが、コロンビアでは、コーヒーかすをキノコの菌床として活用し、さらに、その後ブタなどの家畜の飼料として利用するプロジェクトが、アフリカでは、異常繁殖したホテイアオイを使って魚の養殖に利用したプロジェクトなどが、すでに実現しています。


アップサイジングの考え方に立脚すれば、資源の循環の過程をつうじて新たに環境負荷を増大させるような要素がなく、同時に、経済的な効用が増大するような可能性を秘めたプロジェクトが生まれてきます。

つまり、一般的にいわれる「環境対策」や「環境配慮」という時限を超えて、アップサイジングは、ビジネスとしての持続可能性をもち、新たな雇用などをも創出しながら、事業そのものが環境負荷の軽減や資源の有効活用につながっていく、という、きわめてポジティブな戦略思考なのです。


未来への希望が感じられるような高い目線を保ちながら、社会に向けて、新しい仕組みを提案していきたい。
オフィス・アップサイジングは、そんな思いからスタートしています。


オフィス・アップサイジング
代表 嵯峨 生馬